【2021年最新】人材紹介の基本ルール”職業安定法”|全67条の中で特に重要なポイント15個を徹底解説

現役の転職エージェント

人材紹介会社に勤務しているあなたには、こんな悩みがありませんか?

あなた
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職業安定法って、最低限どんなことに気を付けたらいいの?

あなた
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勉強する時間がないから「これだけは気を付けないとヤバイ!」ってことだけ知りたい。

たくの
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次のような経験をもつ私(@taqnock)が、あなたの悩みに答えます。

  • 現役の転職エージェント管理職
  • 管理簿や事業報告書の作成責任者
  • コンプライアンス研修担当講師

日々忙しく人材紹介業務に従事していると、職安法全体をじっくり読む時間って、なかなか持てないですよね?

忙しいあなたに代わり、私が「ここだけは押さえておかなきゃまずい」という15のポイントを解説します。

この記事を読むメリット
  • 人材紹介事業を法的リスクから守る知識が身につく
  • 法令順守ができているかのチェックリストとして使える
  • 読むとほぼ心が折れる罰則規定の全貌分かる

早速、解説していきます。

【人材紹介の基本ルール①】均等待遇

職安法は、次のような理由によって、差別をしてはいけないことを規定している。(職業安定法第3条)

  • 人種
  • 国籍
  • 信条
  • 性別
  • 社会的身分
  • 門地 
  • 従前の職業
  • 労働組合の組合員であること

特に、求人票の表記や選考過程でのNG理由の伝達時には要注意。

【リクルーティングアドバイザー必見】面接で気を付けなければいけない11項目のNG質問

【人材紹介の基本ルール②】労働条件等の明示

求人者は、人材紹介会社に対して、業務内容や賃金、労働時間等を明示しなければいけない。(第5条の3 第2項)

内容を変更する場合も同様。(第3項)

人材紹介会社も、求職者に対して業務内容や賃金、労働時間等を明示しなければいけない。(第1項)

求人ヒアリングの際、基礎条件が確認できないケースもありますよね?

その時、ヒアリングには法的責任があることをクライアントに理解してもらうことが重要。

【人材紹介の基本ルール③】求職者等の個人情報の取扱い

求職者の個人情報は、原則、人材紹介業務に必要な範囲内で利用する。(第5条の4)

例外が認められるのは、本人の同意がある場合のみ。

【人材紹介の基本ルール④】求人の申し込み

求人の申し込みは、原則全て受理しなければいけない。(第5条の5)

例外となるケースは、次の通り。

  • 法令違反の場合(1号)
  • 通常の労働条件と比べて著しく不適当な場合(2号)
  • 法令違反による処分、公表があった求人者からの求人申し込み(3号)
  • 労働条件の明示がない求人の申し込み(4号)
  • 暴力団関係者からの求人申し込み(5号)

【人材紹介の基本ルール⑤】求職の申し込み

求職の申し込みは、原則全て受理しなければいけない。(第5条の6)

例外は、申し込みの内容に法令違反がある場合。

【人材紹介の基本ルール⑥】手数料

人材紹介会社に認められた手数料は次の2つ。(第32条の3)

  • 上限制手数料
  • 届出制手数料

それぞれ説明すると、次の通り。

  • 上限制手数料→6か月分の賃金に10.8%を掛ける手数料
  • 届出制手数料→理論年収に料率を掛ける一般的な手数料

多くの人材紹介会社は、採算性の観点から届出制手数料を採用している。

また、原則求職者から手数料を徴収してはいけない。(第2項)

【人材紹介の基本ルール⑦】許可の有効期限等

有料職業紹介事業の許可の有効期限は、3年。(第32条の6 1項)

3年経過時に有効期限の更新が必要。(2項)

【人材紹介の基本ルール⑧】取扱職業の範囲

次の2つの業務については、紹介を行うことはできない。(第32条の11 1項)

  • 港湾運送業務
  • 建設業務

【人材紹介の基本ルール⑨】取扱職業の範囲等の届出等

取扱職種の範囲を定めた場合は、厚生労働大臣に届け出る必要がある。(第32条の12 1項)

変更した場合も同様。

範囲外の職種については、全件受理の原則は適用されない。(2項)

【人材紹介の基本ルール⑩】取扱職業の範囲等の明示等

人材紹介会社には、以下4点についての明示義務がある。(第32条の13)

  • 取扱職種の範囲等
  • 手数料に関する事項
  • 苦情の処理に関する事項
  • 厚生労働省令で定める事項

厚生労働省令で定める事項とは、具体的には次の2つ。(職業安定法施行規則第24条の5)

  • 求人者の情報及び求職者の個人情報の取扱いに関する事項(1項1号)
  • 返戻金制度に関する事項(1項2号)

帳簿書類の例は、各事業者所轄の労働局のHPを覗いてみてください。

東京労働局のページはこちら。

職業紹介事業に係る各種管理簿の様式例

具体的に、明示するシーンは次の3つ。

  • 求人の申し込み受理後(2項)
  • 求職の申し込み受理後(2項)
  • 事業所内での掲示(4項)

【人材紹介の基本ルール⑪】職業紹介責任者の選任

人材紹介会社は、職業紹介責任者を選任しなければならない。(第32条の14)

職業紹介責任者の行うことは、次の5つ。

  • 従業員に対する教育(1項)
  • 求人者、求職者からの苦情の処理(1項1号)
  • 求人者の情報、求職者の個人情報の管理(1項2号)
  • 人材紹介事業の業務運営、改善(1項3号)
  • 職業安定機関との連絡調整(1項4号)

【人材紹介の基本ルール⑫】帳簿の備付け

人材紹介会社は、厚生労働省令で定める帳簿書類を作成し、事業所に備えて置かなければならない。(第32条の15)

厚生労働省令で定める帳簿書類とは、具体的には次の3つ。(職業安定法施行規則第24条の7)

  • 求人管理簿
  • 求職管理簿
  • 手数料管理簿

帳簿書類の例は、各事業者所轄の労働局のHPを覗いてみてください。

東京労働局の該当ページはこちら。

職業紹介事業に係る各種管理簿の様式例

【人材紹介の基本ルール⑬】事業報告等

人材紹介会社は、事業所ごとに事業報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。(第32条の16 1項)

期限は、毎年4月30日まで。(職業安定法施行規則第24条の8)

事業報告書に記載する内容は、主に次の7つ。(職業安定法施行規則第24条の8 3項)

  • 就職した者の数(1号)
  • 就職者のうち、無期雇用就職者の数(1号)
  • 無期雇用就職者のうち、離職した者の数(2号)
  • 無期雇用就職者のうち、離職したかどうかが不明の数(3号)
  • 手数料の額(4号)
  • 返戻金制度(5号)
  • 求職者の数、その他職業紹介に関する事項(職業安定法第32条の16 2項)

その他職業紹介に関する事項には、求人数や従業員教育の状況などが含まれる。

詳しくは、厚生労働省HPにある事業報告書の様式を参考にして下さい。

事業報告書(様式第8号)

【人材紹介の基本ルール⑭】守秘義務

人材紹介会社及びその従業員は、次の2つの守秘義務を負っている。(第51条)

  • 業務上知り得た人の秘密(1項)
  • 業務に関して知り得た個人情報(2項)

また、従業員でなくなった後においても、守秘義務を負う。

【人材紹介の基本ルール⑮】罰則規定

罰則規定には、次の4段階がある。(第63条)

  1.  1~10年の懲役または、20~300万円の罰金
  2.  1年以下の懲役または、100万円以下の罰金
  3.  6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金
  4.  30万円以下の罰金

ただ、具体的に条文を見ようとすると…

漢数字のオンパレードで、そっとページを閉じそうになりますよね?笑

なかなか、指定先の条文を1つずつ見る気にはなりません。

条文の中身を調べて、人材紹介業に係る部分のみをピックアップしました。

【第1段階】1~10年の懲役または、20~300万円の罰金

次の2つのケースが該当する。(第63条)

  • 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介を行った場合(第63条1号)
  • 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介を行った場合(第63条2号)

【第2段階】1年以下の懲役または、100万円以下の罰金

次の6つの規定に違反した場合が、該当する。(第64条)

  • 有料職業紹介事業の許可違反(第64条1号)
  • 偽りその他不正による有料職業紹介事業の許可(第64条1号の2)
  • 偽りその他不正による許可の有効期限の更新(第64条1号の2)
  • 許可の取り消しによる業務停止命令違反(第64条2号)
  • 名義貸しの禁止規定違反(第64条3号)
  • 取扱禁止職業の規定違反(第64条4号)

【第3段階】6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金

次の5つの規定に違反した場合が、該当する。(第65条)

  • 手数料の規定違反(第65条4号)
  • 業務改善命令の規定違反(第65条7号)
  • 虚偽の広告、または虚偽の条件を提示して、職業紹介を行った場合(第65条8号)
  • 虚偽の条件を提示して、求人の申込みを行った場合(第65条9号)
  • 労働条件が法令に違反する求人者のために、職業紹介を行った場合(第65条10号)

【第4段階】30万円以下の罰金

次の9つの規定に違反した場合が、該当する。(第66条)

  • 有料職業紹介事業の許可申請の書類に虚偽の記載をした場合(第66条1号)
  • 手数料表の規定に関する変更命令違反(第66条2号)
  • 有料職業紹介事業の許可内容に関する変更届出をしない、もしくは虚偽の届出を行った場合(第66条3号)
  • 有料職業紹介事業の廃止に関する届出をしない、もしくは虚偽の届出を行った場合(第66条4号)
  • 職業紹介責任者に関する規定に違反した場合(第66条5号)
  • 帳簿の備付け規定に違反し、帳簿書類を作成しない、事業所に備えておかない、または虚偽の帳簿書類を作成した場合(第66条6号)
  • 行政庁からの報告要請に従わない、または虚偽の報告をした場合(第66条7号)
  • 行政庁の検査、立入りを拒み、妨げ、もしくは忌避し、または質問に対して答弁せず、もしくは虚偽の陳述をした場合(第66条8号)
  • 守秘義務に違反した場合(第66条9号)

ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?

あなた
あなた

ポイントは分かったけど、職安法全体の構成ってどうなっているの?

【答え】5章構成+附則になっている。

具体的には、次の通り。

  • 第1章:総則(第1条~第5条)
  • 第2章:職業安定機関の行う職業紹介及び職業指導(第6条~第29条)
  • 第3章:職業安定機関及び地方公共団体以外の行う職業紹介(第30条~47条)
  • 第4章:雑則(第48条~第62条)
  • 第5章:罰則(第63条~第67条)

ちなみに、附則とは、補足的な事項を定めた部分のこと。

施行期日や経過措置、関連法規の改廃などの情報が入っている。

まとめ:人材紹介の基本ルール”職業安定法”は3つの章を見ておけば攻略できる

まとめ:人材紹介の基本ルール”職業安定法”は3つの章を見ておけば攻略できる

それでは、今日の内容を振り返ります。

人材紹介会社として、見ておくべきポイントは、次の3つの章に集中している。

  • 第1章:総則(第1条~第5条)
  • 第3章:職業安定機関及び地方公共団体以外の行う職業紹介(第30条~47条)
  • 第5章:罰則(第63条~第67条)

ここまで記事を読んだあなたなら、職業安定法の全体像が理解できたきたはず。

そうなると、その他に見ておかなければいけない法律も気になりますよね?

そんなあなたは、こちらの記事も参考にしてください。

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最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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